Check Masayanの【厳選記事】を見に行く

熱が出たら氷枕!って効果の無いアプローチはもう改めましょう

記事内に広告が含まれています。

発熱少女

なんやかんやで約10年臨床で看護師をしていますmasayan(@masayan382)です。

先日、病院あるある的な話をしましたが今日もそんな話をします。

「身体が熱い。熱を測ったら発熱している。すぐに氷枕で冷やさなきゃ!」って考え、もう、やめましょうよ。だってあんまし意味ないんですよ

なんでかわかりますか?身体がある目的のために熱が出るようにしてるんですよ?

それを遮るように冷やすことで身体の目的は達成できるんですか?邪魔してるだけじゃないですか?

熱があるときは第一選択で氷枕で冷やすことが正義だと思い込んでいるあなたに今日は看護師としてお話させていただきたいです。

では、参りましょう。

看護師が経験する病院あるある!

怒った家族

病院で働く看護師さんなら一度と言わず、二度三度ある話をします。

入院中の患者さんの、ご家族さんがナースステーションに怒鳴り込んできます。

「うちの○○の熱を自分の体温計で測ったら熱があるじゃない!早く氷枕を持ってきなさーい!(ムキーーー!!)」

ありますよね?きっと看護師さんがこの記事を読んだら首を縦に振ってくれているはず。

これを正す前に、熱(発熱)についてある程度理解しないと話が進まないので少しお勉強からしましょう。

発熱とは

発熱とは、脳の視床下部にある体温調節中枢のセットポイントが上昇し、体温が高められている状態のことです。臨床的には、体温37.5℃以上の状態を示します。

発熱時には、皮膚表面の血管収縮や悪寒を伴う。発熱の原因には、感染症・炎症性疾患・アレルギー疾患・悪性腫瘍など様々です。

この脳の視床下部というところにある体温調節中枢が働いて体温を何度に設定するか決めています。

そして、決まった目標体温に向かって身体が熱を上げたり下げたりしているのです。

参考発熱のメカニズム|体温の基礎知識|体温と生活リズム|テルモ体温研究所

ちなみに氷枕やアイスノンなとで身体を冷やすことをクーリングと看護業界では呼んでいます。

では、先程のケースに話を戻します。

ケース1

発熱で苦しい患者

対象者、仮にAさんは肺炎で入院中の方です。熱心な奥さまは毎日面会に来られています。本日、面会された際に身体が熱いため鞄のなかにあった体温計で測ったら(よく持ち歩いてたな)ご主人の体温が38.0度もあった。

ということです。

治療としては抗生剤を投与中です。これで肺の炎症が治まらないうちは熱が高いことでしょう。

ですが、奥さまはそれが理解できず、身体を冷やそうとしているのです。

発熱のメカニズムを考えると、体温を上げ、ウイルス等をやっつけようとする、増殖させにくくする自己免疫力によるものです。

今は熱がどうしても高くならざるを得ないわけです。もっというと「ばい菌・ウイルス」をやっつけるのに抗生剤も発熱も効果があります。

ですが、氷枕で身体を冷やせば表面の熱は下がるかもしれませんが、体の中枢の熱は下がらないでしょう。

これがどういうことかわかりますか?

身体は目的をもって発熱しているので、身体を冷やすことで目的までの道を閉ざされるというのは遠回り。

ましてや、せっかく熱を上げたのに強制的に冷やさせるともう一度熱を上げなくてはなりません。

そうなると、体内でエネルギーを捻出しなくてはならないため、体力を消耗します。

相手を想って冷却することが、相手の負担にもなり得るということを理解してナースステーションにどなり込んできてるんならいいんですけど、そうではないのが難しいところです。

氷枕がぬるくなれば再び熱が上がるでしょう。ここでの問題は熱が高いことではなく、肺で炎症が起きているということです。

肺の炎症さえ落ち着けば、自然と熱は下がるはずなのです。

では、発熱時に氷枕でクーリングしてはいけないのか?

氷枕

そうでもないんです。してもいいのです。

ただし、目的が違います。解熱目的ではなく、清涼感目的であるならよろしいかと

身体が熱いわけですから、冷たいものがあれば気持ちがいいですよね?

長時間、身体を横にして休んでいますから過ごしやすくなるならあったほうがいいかもしれません。

また、高熱の間かぶっていた布団の中も十分に熱くなっており「こもり熱」がある場合もあります。

必要時、布団の内部を換気することもよろしいかと。

発熱しすぎが問題になるケース

だからといって熱が高ければいいかといえばそうでもないです。

体温が40度超えしてくると発汗も著名になりますし、ご飯も食べられないことでしょう。

脱水になることも予想されます。

ちなみに、脱水症状に関してはこちらの記事で3種類ある脱水についてと、それぞれに何を飲むべきか等の細かい話をしています。脱水症状について理解を深めたいという方は是非合わせて御覧ください。

また、なにより体力の消耗が半端ではないです。

まさにマラソンにおけるスタートダッシュで燃え尽きるパターンです。

体力を消耗しきったところで、最後まで走り抜けるペース配分なのか気になります。

高すぎる体温に関してはある程度、解熱剤を考慮し、水分補給も検討して対応している医療機関がほとんどかと思います。

もっともベストなのは体力を消耗しきらない程度に、バイ菌が活躍しにくい程度に発熱している状況ですかね。

私の先輩でナースプラクショナーになった方がおられるのですが、その方にも確認したのですが学術的にも発熱時のクーリングが効果的であるという論文はなかったということですね。

ICUにおける低体温療法みたいな冷却水冷ブランケットを使用するレベルならあるけど、氷枕程度のものでは…って話です。

まぁ、医療は日々進歩しているので、こんな記事を書いた後日、クーリングすべきだ!って風潮になる可能性もあるかもしれませんが。

それと、前回の記事で例えるならクーリングは対症療法です。クーリングでは発熱原因を除去できません。

今回は肺炎のケースで考えましたがこれが頭蓋内病変で、視床下部が影響されているようなケースでは体温調節中枢が機能していないと自己による体温調節が望めないので対応がまた変わってきます。

おわりに

よく、「汗をかいたから熱が下がって風邪が治った!」という方がいます。
少し違うのです。

「風邪が治って熱を上げる必要がなくなった→もう体温を下げよう→汗を出そう→汗の気化熱で体温下がる」
こういう流れです。

このニュアンスの違いを是非ご理解いただきたいところです。

例えるなら、「正義が勝つのではない。勝ったものが正義である。」といった感じでしょうか。

そして、ここまで書いておいて触れなければならないことがあります。

それは、ケース1の奥さまは心の底からご主人の身体を冷やして欲しいわけではないかもしれないんですよ。

自分の大切なご主人を看護師さん気にかけてください!もっともたくさん見に来てください!心配してください!」っていう心のSOSかもしれないんです。

思いのほか、看護師って難しいでしょう(笑)
人の「心と身体」を扱う仕事なんです。

「下痢してる→正露丸。発熱している→氷枕。」そういう分析・評価もしないような、盲目的なアプローチはそろそろ改めた方がよろしいかと思います。

相手が話せる状態であれば、「冷やした方が気持ちいかな?」と聞いて、本人の要望を確認した方が賢明かと思います。

大事なのでもう一度言います。

氷枕で冷やすことは根治療法ではないのです

 

合わせてチェック!

コメント

タイトルとURLをコピーしました