先日から始まった当ブログにおける島根シリーズも絶好調のmasayan(@masayan382)です。
せっかく島根県にきたのなら出雲大社で終わらすのは非常にもったいない!
ってことで、当ブログでは独断と偏見で出雲大社の他にも魅力たっぷりの島根県の神社を訪れたいと思います。
島根県の「出雲」と言えば、神話に詳しい人はすぐに思いつくのが大国主大神のお話し。
実際、出雲を代表する出雲大社の御祭神も大国主大神です。
この大国主大神の神話の話というのは日本の最初の歴史書とも言われる「古事記」・「日本書紀」に記載されているものです。この2つをまとめて「記紀」ともいいます。
実は「記紀」には記されていない古代の日本の話をまとめた書物もあります。それが「風土記」です。歴史の授業が好きだった方は教科書で「風土記」という文字を見たことがあるんじゃないでしょうか。
一般には「風土記」というのは地方の歴史や文物を記した地誌のことです。日本の奈良時代に地方の文化風土や地勢等を国ごとに記録編纂して、天皇に献上させた報告書をさすこともあるそうです。
俗にいう、神話の地方誌ともいえる風土記。その中でも特に完成度が高いと評判なのが「出雲国風土記」です。
『出雲国風土記』(いずものくにふどき)は、和銅6年(713年)5月に編纂が命じられ天平5年(733年)2月30日に完成し、聖武天皇に奏上されたと言われているものです。出雲に伝わる神話などが記載されており、記紀神話とは異なる伝承が残されているとして有名です。
出雲国風土記に記される「国引き神話」のゆかりの地ともいえるのが、こちら。
「長浜神社」です。
長浜神社(ながはまじんじゃ)とは!?
「出雲国風土記」の冒頭を飾る「国引き神話」は、綱をかけ海のむこうから土地を引き寄せ縫い合わせた国土生成のお話し。長浜神社は、国引きの綱の「薗の長濱」の地に鎮座しています。
御祭神は国引きの神「八束水臣津野命(やつかみずおみつぬのみこと)」。海のむこうの土地に綱をかけて引き寄せ大地を造られた功績もあり、綱引きの祖=スポーツ上達・不動産守護の神としてのご神徳が知られています。
そして、先ほどから何回も出てくる国引き神話とはなんぞや?って話ですよね。
国引き神話とは!?
昔々、出雲の創造神、八束水臣津野命(やつかみずおみつぬのみこと)は出雲の国を見渡して「この国は、細長い布のように小さい国だ。どこかの国を縫いつけて大きくしよう」と思われました。
そこで、どこかに余分な土地はないかと海の向こうを眺めると、朝鮮半島の新羅(しらぎ)という国に余った土地があることを見つけます。
八束水臣津野命は、幅の広い大きな鋤(すき)を使って、大きな魚を突き刺すがごとく、ぐさりと土地に打ち込み、その魚の身を裂いて切り分けるように土地を掘り起こし、切り離しました。
そして三つ編みにした丈夫な綱をかけて、「国来、国来(くにこ、くにこ)」と言いながら力一杯引っ張ると、その土地はゆっくりと動いてきて出雲の国にくっついたのでした。こうして合わさった国は、杵築のみさき(出雲市小津町から日御碕まで)になりました。
その時、引っ張った綱をかけた杭が佐比売山(現在の三瓶山)で、その綱は薗の長浜になりました。さらに八束水臣津野命は北の方の国から同じように狭田の国(小津から東の鹿島町佐陀)と、闇見の国(松江市島根町のあたり)を引っ張ってきて、つなぎ、最後に北陸地方の高志の国から引っ張ってきた国が三穂の埼(松江市美保関町のあたり)になりました。
この時、八束水臣津野命が引っ張った綱をかけた杭は伯耆の国の火の神岳(現在の大山)で、持って引っ張った綱は夜見の島(弓ヶ浜)になりました。
そして八束水臣津野命は「国を引くのが終わった」とおっしゃって、杖をおつきになって「おえ。」と言われたので、その地を意宇というようになりました。
というのが出雲地方に伝わる国引き神話です。
そして、この出雲国風土記の冒頭でもある国引きを行った神様・八束水臣津野命(やつかみずおみつぬのみこと)を主祭神として祀っているのがここ、長浜神社なのです。
いざ、長浜神社へ
随神門。こちらの神社も注連縄が太めです。
やはり太い注連縄は重厚感がありますね。
正面に見えてくるのが拝殿・本殿です。
そして、その手前で見えてくるのがこちら。
厳藻かけ
海で禊(みそぎ)をした人がその証として、海岸に打ち上げられた海藻を厳藻(いづも)かけに掛ける習わしがあります。この海藻は出雲では神様の食事となる神聖なお供えものだそうです。そのため「厳藻(いづも)」といわれ「出雲」の語源になったとのこと。
看板の隣の漢字の「出」に近い形のものに海藻をかけています。
拝殿へ
大変に静かで、厳かなたたずまいです。
主祭神は八束水臣津野命。国引きでも有名なこちらの神様は出雲大社で祀られている大国主大神の祖父にあたる方です。出雲にも縁もゆかりもある神様です。
↑拝殿にはテーブルの上に「くにびき 一文字 写詞」なるものがありました。
どうやら、お寺でいうところの写経に当たるようで、国引きの詞章のうち 一文字を奉納木に書いて納めるというものになっています。
本殿横から。
弓掛(ゆみかけ)の松
豊臣秀吉の唐入り(朝鮮出兵)の際に百日祈願がありました。加藤清正や片桐且元、福島正則といった名だたる武将の参拝があったそうです。その際に片桐且元が弓矢をたてかけた松なのだそうです。
昭和四十八年枯れ死するも根本は残存しています。根本だけになっても「弓掛(ゆみかけ)の松」として境内に今もあります。
緒戦の連勝連勝に太閤はいたく喜び、桐の神紋をはじめ恩賞を授けたそうです。
この頃から「武道・スポーツ上達の守り神」のみならず「勝負に勝つ神」として広く信仰を集めるようになりました。
境内には三ツ鳥居
三ツ鳥居です。レアな形ですね。奈良県の大神神社摂社の檜原神社以来です。
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左に荒神社、真ん中に要石と夫婦石、右は岐神社が祀られています。
毎年10月、国引きの世界を、再現させようと直径84ミリの太い綱を用い、境内の砂の上で展開される綱引きが行われています。
国引き神話の生きる町ですね。いいと思います。
おわりに
天照大神も大国主大神も正直神話に詳しい方、記紀に精通している方からしたらメジャーな神様で、日本の各地に祀る神社がたくさんあります。
しかし、ここには出雲地方にしかない神話が存在し、その伝説になぞらえ、かつその神様を祀る神社がこのように存在します。
是非、島根県を訪れる機会があるのでしたらこの長浜神社にも足を運んでみてはいかがでしょうか?
雰囲気も、ゆかりも、思いにもなる素敵な神社ですよ。
長浜神社
所在地:島根県出雲市西園町上長浜4258
電話:0853-28-0383
駐車場:あり
HP:http://www.shinbutsu.jp/50.html
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