唐突ですが、あなたの自宅に救急箱や緊急用にお薬を用意してありますか?
こんにちは。これでも看護師をしているmasayan(@masayan382)です。
一応、私は現役の看護師なので薬は多少用意ができていたりもします。
お腹をこわした時、下痢、腹痛時用に「正露丸」を用意されている方はいらっしゃいますか?
検討に検討を重ねた結果、我が家は「正露丸」ではなく、「ビオフェルミン」を置いておくという結論になりました。
今回は我が家で妻との間で生じた「正露丸とビオフェルミンのどっちがいいんだ問題!」をベースに「整腸剤」についてお話します。
先日、妻がお腹をこわしました
どうかしたんか?
アカン。なんか急にお腹がいたくなってきたわぁ~
まじか。大丈夫か?ビオフェルミンならあるで
いや、こういうときは正露丸やろ
俺、正露丸なんて飲んだこともないんやけど。正露丸の成分って何なん?作用機序はわかってて言ってるんか?
…そんなん知らんわ
嘘やろ…。
…。我が家は昔からお腹こわしたら「正露丸」て決まってんねん。
いや~、ビオフェルミンの方がええやろ~
↑というやりとりが実際ありました。
こう見えても看護師のmasayanですが、約10年臨床で看護師をしております。
病院も東京、京都、奈良、埼玉と各地で働く機会もあったのですが病院で医師が「正露丸」を処方するところを見たことがありません。
消化器の医師とも絡む機会がありますが、やはりないですね。
新人時代は「自分が知らない薬を患者に飲ませるな。薬がわからなかったらその場で調べろ!」と先輩看護師に指導していただきました。
振り返ってみても、正露丸…調べたことなかったです。
思い返せばカナダに留学した友人も出発前に備えとして「正露丸買っておかなくては」と言っていたことを思い出しました。
この歳までTVのCMで見る機会はあっても、masayanは正露丸を飲むことなく、見ることなく、調べることもなく育ちました。
これを機会に正露丸について調べてみました。
正露丸(せいろがん)とは!?
正露丸(せいろがん)は、医薬品で日局木クレオソート(別名日局クレオソート)を主成分とした胃腸薬(止瀉薬)である。旧称は征露丸。
引用元:Wikipedia「正露丸」
↑このラッパのマークの正露丸でおなじみですね。
もはや今時の若い人は知らないかもしれませんが、現在30代の人までならTVのCMで既に刷り込まれているからこそ、「腹痛時は正露丸って盲目的」なのかもしれません。
最近はTVのCMで見ないですね。私が幼少期の頃はTVのCMでよくやっていたイメージです。
正露丸は昔の日露戦争時に、不衛生な水源による伝染病や低栄養などで兵隊が下痢をしないように用いられたことから、ロシア(露)を征するという意味で、征露丸と名づけられたのです。
引用元:Wikipedia「正露丸」
まだ予防的投薬という概念も一般には浸透していない時代のことであり、特異な臭気を放つ得体の知れない丸薬は敬遠されて、なかなか指示通りには飲んでもらうことがなかった。そこで軍首脳部は一計を案じ、その服薬を「陛下ノゴ希望ニヨリ」と明治天皇の名を借りて奨励することとした。この機転によって、コンプライアンスは著しく向上し、下痢や腹痛により戦線を離脱する兵士は激減したといわれる。
引用元:Wikipedia「正露丸」
まさか兵隊が下痢をしないように飲ませた薬だなんて…。
しかも、明治天皇の名を使って奨励したんですね。結果、未だにその浸透力が健在という凄さ。
幼少期から「腹痛時は正露丸」と教えられたら盲目的にそうなるのも必然ですね。
正露丸の危険だという風潮もあった
正露丸が危険だという風潮もありました。こういう話もあったんですね。
↑ご参照ください。
結局は正露丸の成分である「木クレオソート」の毒性が問題視されたようです。
看護師masayanが思う問題点
個人的に思う問題点は正露丸は木クレオソートが入った「止寫薬(下痢止め薬)」であるということ。
上で参照してもらった記事は「クレオソート」の毒性が問題でしたが、看護師からの目線として私は「下痢を止める」ということが問題かと。
下痢について言えば、例えばですが細菌性腸炎(食中毒)やウイルス性腸炎(嘔吐下痢症)などの消化器疾患での下痢は、原因となる細菌やウイルスを身体の外に出そうとする反応です。
下痢を止めてはいけないのです。下痢となる原因を身体の外へ排泄するために下痢は必要なのです。(ただし、下痢に伴う脱水や電解質異常が起こるようでは入院が必要かもしれません。ここでは一般家庭における下痢としてお話します。)
念のため、現在勤めている病院の薬剤師さんに聞いてみました。まさに上記の事を言っていました。
下痢は止めるものではないでしょう。やっぱり「ビオフェルミン」でしょうと。
LINK http://www.oita-min.or.jp/seirogan.html
↑こういうお話もあったそうです。
強制的に腸の動きを止める薬ですから、イレウスになる可能性もあります。
あ、イレウスって病気聞いたことありますか?
漢字で書くと、「腸閉塞」です。これならイメージできますかね?
腹部症状で困ったら、masayanはビオフェルミン派です。
新ビオフェルミンS錠は、善玉菌(ビフィズス菌や乳酸菌)が、腸内環境を整えることによって、便通(便秘や下痢)を改善するものです。
新ビオフェルミンSの効果
新ビオフェルミンS錠は、人由来(人間の腸内にいる種類)の菌であるビフィズス菌、フェカリス菌、アシドフィルス菌という3つの乳酸菌が有効成分として配合されています。
①ビフィズス菌
大腸で活動し、乳酸と酢酸を作り整腸効果を高めます。
②フェーカリス菌
小腸で活動し、すぐに増殖する特性を持っていて腸内環境を整えたり、ビフィズス菌やアシドフィルス菌が増える手助けも行います。
③アシドフィルス菌
小腸で活動し、乳酸を多く作ることで、悪玉菌を抑えることで、悪玉菌の作り出す有害物質を減らします。
新ビオフェルミンSに含まれる3種類の乳酸菌は、どれもヒト由来のものです。
健康なヒトの腸内に住む乳酸菌、腸内細菌を研究して製品化したものばかりですので、腸まで生きて届くだけでなく、小腸から大腸まで広い範囲に定着して菌数を増やすことができるのです。
個人的にはこの「ビオフェルミン」がお腹で起きている異変を直接的に叩く、治すということではなく、もともと体内にいる善玉菌を支援して腸内環境を整えるというところがいいなと思います。
何より、病院で医師が処方するのが「ビオフェルミン」です。
臨床で行っていることが家庭では適応されませんということもないはずです。
まとめ
けっして正露丸が悪いとは思いません。下痢や腹痛を止めた方がいいケースもあります。
ただ、そんな状況であれば病院を受診した方がいいとも私は思います。腸管の動きを止めるということはイレウスになるリスクも考慮すべきです。
ただ、ビオフェルミンに関しては速攻性はあまり期待できないでしょう。
正露丸ではなく、ビオフェルミンでの対応を考えるなら「早めに内服を始め、多少時間がかかっても自分の体内で原因を除去されるのを待つスタイル」になると思います。
結局何が言いたいのかといえば、メリット・デメリットを考慮した上で対応するべきだということです。
ウチの妻のように盲目的に薬を飲むのは危険です。「薬と毒は紙一重」とも言いますがまさにその通りだと思います。
この記事を読んでみなさんはどう思われましたか?
盲目的に信じていた方は少し考える機会となったでしょうか?
この記事がみなさんのお役に立てたのであれば幸いです。
お腹が痛くなってからでは遅いので、事前にご家庭にビオフェルミンをご用意しておくことを看護師としておすすめします。
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