だいぶ寒くなってきましたね。みなさん風邪などには注意されてますか?
こんばんは。看護師のmasayan(@masayan382)です。
この季節になると思い出されるのが救急外来で働いていた頃の想い出。
夜中のクソ忙しいときに風邪を引いたらから風邪に効く抗生剤を出せと言ってきた金髪の輩を思い出します。何かともめました。
「風邪に聞く抗生剤なんてないんですよ」と医師から説明されても納得できず、激しく暴れておりました。
…、それだけ元気なら薬なんぞいらんな。
そう思えるくらいでしたが。
なんやかんやで警備員につまみ出してもらったのですが、「風邪」「抗生剤」という単語を聞くと彼が脳裏をよぎります。
私事ですみません。
サクッと結論から申し上げますと、風邪を治す抗生物質は存在しません。それでころか風邪を治す風邪薬も存在しません。せっかくなので今日はそんな話をします。
興味のある方は読み進めてください。
では参りましょう。
風邪に抗生剤が効かない理由とは!?
感染症の病原体には2種類あります。ウイルスと細菌です。抗生剤は、感染症で一番多いかぜの原因であるウイルス感染には全く効果はありません。しかし、細菌感染には非常に効果があります。肺炎や重症の細菌性髄膜炎は抗生剤での治療が必要です。このように、抗生剤は細菌感染と戦うためにはなくてはならない治療薬です。
「ウイルス」と「細菌」の違いですね。
俗にいう「風邪」はウイルスによるもの。では抗ウイルス剤を使えば良いかといえば風邪に関してはそうはいかないのです。
ライノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルスなどなど。
ウイルスと言ってもたくさんあり、ウイルスを特定しないことには使用する薬も決められないということ。
また、なんやかんやでウイルスを特定できない例も20-30%くらいはあるそうです。
そうなってくると、風邪を引いて微熱が出てるからといって入院、検査、検査結果を待って、使用薬剤を決定。それから薬を投与。採決データで効果を判定。状態が落ち着いていれば退院…。
わざわざ風邪を引いて微熱があるからってこんな手間かけられないですよね。
そうなると「免疫力・自然治癒力」で治すのが一番効率がいいという結論にもいくわけです。
そこで、多くの方が入院もせず、自宅で行える治療として風邪薬の内服にたどり着きます。
あれ、昔は風邪引いて医者が抗生物質を処方してくれたけど!って思った方へ
これに関しては医者の判断になってしまいますが、風邪を引いて体力が低下しているところへ新たな感染症を併発した際の重症化を予防するために抗生物質を処方するスタイルもあります。それは医師と要確認ですね。
むやみに抗生物質を飲むと耐性菌の問題が生じるのです。ちなみにこの「耐性菌」に関してはまぁまぁ問題視されていることでもあります。
必要のない多くの人たちが特定の抗菌薬をどんどん飲んでいったらどうなるのでしょうか? その抗菌薬は私たちの体に吸収され、薬が効く菌を殺してくれます。しかし、中には薬が効かず、生き残る細菌、耐性菌がいます。この耐性菌たちは、薬が効く細菌が死滅したおかげで、栄養分や場所を独り占めすることができます。そうして、どんどん増えていきます。
引用元:風邪に抗生物質って効果ないの? 抗菌薬の使用に潜む危険性/THE PAGE
薬に耐え抜いた菌が増え、体の中で悪さを始めたとき今までその菌に対して有効だった薬が無効化されるわけですから、お手上げ状態になるわけです。
冒頭でも触れた金髪のお兄さんはこういうことまでお勉強してから来院されたら医師ともやりとりがスムーズに進んだのになぁと思うのです。
総合感冒薬(風邪薬)とは!?
俗にいう風邪薬、正式には総合感冒薬(そうごうかんぼうやく)というのは、頭痛・発熱・のどの痛み・筋肉の痛み・咳・くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどといった、風邪の症状の緩和に効果を出すように解熱鎮痛剤や鎮咳去痰薬・抗ヒスタミン剤などを複合した医薬品のことです。
まぁ、こういうことですよね。
おそらくテレビCMなんてよく見るやつってこんなんじゃないですか?
①熱、咳、鼻水によく効きます…。
②風邪の主症状にはやく効きます…。
③風邪のつらーい症状を和らげます…。
どうですか、上記のフレーズってどれかしら聞いたことあるんじゃないですか?
今後、TVで風邪薬のCMで見る機会があったらよく聞いてほしいのですが、「症状によく効く」とは言っても「これを飲めば風邪が治ります」とか決定的なことは言ってないはずです。
風邪というのは特に薬を飲んだりしなくても自然治癒するものであり、総合感冒薬(風邪薬)というのはあくまで対症療法にすぎないため、それを飲んだとしても、まず第一に十分休養することが望ましいのです。
また鎮痛・解熱剤が含まれる総合感冒薬は、飲むとかえって風邪を長引かせてしまうことになる、とも言われています。
風邪を治すには
①睡眠
②栄養摂取
王道ですがこれですね。
ただ、どうしても休めない仕事があるとか、試験があるとか状況は人それぞれでしょう。
それらを乗り超えるまではなんとか持たせたいってところで出てくるのが風邪薬ってやつになるわけです。
まとめ
結局のところは以前の記事にも書いたとおり何が根治療法で何が対症療法なのかです。風邪薬って言っても結局は対症療法です。
症状を和らげている間に自然治癒力にて風邪が治るのを待つしかないわけです。そのあたりを理解した上で、一番の治療は栄養を取って休息することです。薬を飲めばなんでも治るというのは違いますよ。
ただし、「喉が腫れてごはんが食べれない」とか、「高熱が続いて食欲なんか皆無だ」とかになると結局自宅での療養が難しいですよね。
休息も栄養摂取もできなければ風邪は治りにくいです。そういったときは病院を受診してください。
自分では風邪だと思っていたら思いのほか違う病気でしたなんて話もよくあるケースです。
年末年始は疲れも重なってくる時期でもあります。
是非ともご自身でご自分のお体をケアしてあげてくださいね。
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