こんばんは。元・救命センター勤務だった看護師のmasayan(@masayan382)です。
ついに先日、毎週の楽しみだった医療ドラマ「コード・ブルー」が終わってしまいました。
非常に残念です。ぽっかり心に穴が空いてしまったような感じです。
今作も非常に面白かったなぁ〜というのが率直な感想でした。
しかし、ネット上では藍沢先生がピアニストの子を引きずるだけで活躍してなかっただの、前作と比べても脚本がいけてないだの、いろいろありました。
まぁ、感じ方は十人十色。ひとそれぞれでいいと思うんです。
そんななかで、全話見終わったとある看護師の感想をここに書きたいなと思います。
なお、前回のコード・ブルーに関する記事はこちら
でわ、参りましょう。
実は、そもそも前作までとはステージが違う
まず、これ。多くの方はここを強く感じることかと思います。
それは、それまでがむしゃらに知識、技術、判断力を磨いていた新人(フェロー)時代から時は流れ、一人前の救命医となり、今やフェローの教育という立場になったということ。
それまでは、目の前の患者さんを救えば良かったんですけどね。新人教育をしながらといったことも考慮したアプローチを展開していました。
ついに今夜最終回‼️
白石率いる翔北救命チームは、一体どうなってしまうのか⁉?😰
様々な苦難を乗り越えてきたこのフェロー達の運命も、どうか最後まで見届けてください🙇🏻#コード・ブルー #フジテレビ#成田凌 #新木優子 #馬場ふみか#コードブルー9月18日最終回 pic.twitter.com/zHLDjzSDN1? 【公式】『コード・ブルー』 (@code_blue2017) 2017年9月18日
山下智久さん演じる藍沢先生がバンバン救命していくといった感じ多くは無かったが少なくもなかったといったところでしょうか。
それよりも、無線で指示を出したりといった場面が多かったです。
個人的には横峯先生への胸腔ドレーンの指導なんかは非常にスパルタで藍沢先生らしくていいなぁと思って見ておりました。
病院に限らずですが、どこの職場でも新人教育というのは大きな課題で、非常に難しいです。厳しくすれば辞めてしまうし、甘やかせば育たない。
新人さんも一人一人個性があるから扱い方もそれぞれ。新人指導まで経験させてやっと一人前扱いになる職場は数多くあるんじゃないでしょうか。
今回は病院の、救命科における一幕を垣間見た感じでした。
フェローの横峰先生に患者3人の搬送順位を決めさせるあたりは、「横峯先生に考えさせて、意見を聞く。提案してきたプランを評価し、アドバイスを送る。」
「コーチング」そのものだったんじゃないかと思います。
昔のノリであれば「俺がやる。お前は俺の言われた通りに動け」とでも言いそうなものを…。と勝手にTVの前で思っていました。
「成長したんだなぁ〜藍沢先生も。」とTVの前で親戚のおじさんばりの反応を取っていました。
ただし、新人指導だけでなく、さりげなく救急車の中で開胸心マをやってのけるあたりはさすがの一言です。
フェローの教育で言えば戸田恵梨香さん演じる緋山先生も藍沢先生とは違う形で名取先生を指導されていました。
藍沢先生はどちらかと言えば新人に考えさせる時間を与えるタイプでしたが緋山先生は自分の背中を見せて学ばせるタイプですね。指導医が自ら行う姿から学ぶ。
むしろ男らしい指導スタイルとも言えます。率先して動く緋山先生に名取先生も変化していく様が見事に描かれていたと思います。
白石先生は総括的なポジションで一番、指導に神経を使っている様子でした。どこの職場もにたようなもんだなぁと見て感じました。
その一方で、最終回では見事な現場の裁きっぷり。
災害現場での鉄則は「CSCATTT」です。
CSCATTTとは!?
- Command&Control(指揮と調整、連携)
- Safety(安全)
- Communication(情報伝達)
- Assessment(評価)
- Triage(トリアージ)
- Treatment(治療)
- Transport(搬送)
これが実行されないと円滑な救命・救出活動ができません。その中でのCommand&Controlを白石先生は率先して行っていました。
「消防隊長!」といって情報取集、状況判断、情報伝達、役割の分担、他病院・消防・コメディカルとの連絡、指揮をとっている姿はシーズン1からは想像できないくらいの成長した姿でした。
個人的に大好きな藤川先生はいろいろあったのですがさりげないところでの新人フォローや優しい言葉がけはさすがです。
ちょけたら冴島さんに怒られる関係性も期待を裏切らない感じでしたね。
さすがにこれは減点
masayanはコード・ブルーが好きだから絶賛するだけなんだろ?と思われるかもしれませんが、ひいき目に見ていても「ちょっとこれは…」のシーンも確かにありました。
それは緋山先生が針刺し事故で感染症になったかも事件のときです。
これはネットでも問題視されていましたが、感染したかもしれないことをすぐに上級医に報告しなかった点や、隔離されている部屋に一般人を招き入れてしまった点などです。
「さすがにこれはないな。」と言わざるを得ないかな。
ただ、前回の記事でも触れたことですが、「医療ドラマだから描けることもあると。そのためには現場で普段やらないこともやってもいいんじゃないか。そうしないと描けないことであれば。」といったことを言わせてもらったのですが、今回はそこまでして描くもんでもなかったんじゃないかな。
むしろ、緋山先生の恋愛パートは個人的にはあんましいらなかったかなぁ〜なんて思ってしまいました。
うちの妻は「ええやん。別に。」と肯定的でしたけど。
考えさせられた臓器提供
ドラマを見ていて考えさせられたのは臓器提供のくだりでした。
LINK 3000人に聞く「臓器提供」に対する考え方(2017.09.18)
↑こういう記事もあったので。なかなか知られていないのが臓器提供です。
今作では臓器移植を待つ患者さんの状態や、ご家族の心境なんかが痛々しいほどに描かれていました。このドラマが強く放ったメッセージの一つだと思います。
私が出合った臓器提供の意思があった患者さん
私が救命で働いて、臓器提供の意思があった方が記憶にあるだけで2人います。
どちらもよく覚えていて、心肺停止状態で搬送されてきて救命処置をしていました。
おさいふの中から臓器提供カードがあったので付き添われていたご家族さんにその件を確認すると、「本人はそのつもりでも私たちは臓器提供させたくありません。大事な家族の体を切り刻んで、欲しい臓器だけ持ってくなんて考えられない!」と言われてしまいました。
先生からは「もう家族がああ言ってる以上無理だね。せっかく臓器を提供したいって思ってた患者さんなのにね。彼の意思は尊重されなかったね。」と。
そういった感じで臓器を提供することは2人のケースともに叶いませんでした。
「なんで臓器を提供しないんだ!」って怒っているわけではなく、「自分が死んだ際は残される家族のことも考えないと」ってことです。
もしもこの記事を読んでくださっている方が臓器提供の意思がある場合、是非、残されるご家族さんの説得も合わせてしておくことをおすすめします。
ご家族さんが、あなたの体をメスで傷つけるなんて考えられないって思うタイプの方であれば、臓器提供を拒否する可能性もあります。
また、説得時は了承を得られていても、いざ、実際となると決断が変わるケースもあります。
できることはと言えば、あなたがどれだけ臓器を提供してどれだけ他の人のためになることをしたいのかってことを伝えることです。
戸田恵梨香の“情熱”が、有岡大貴の成長へと繋がるーー『コード・ブルー』第6話で描かれた“落胆の向こう側”|Real Sound|リアルサウンド 映画部 https://t.co/PS4nfzHQSg
— Erika Toda Staff (@erikatodastaff) 2017年8月22日
ドラマの中ではご家族さんも承諾され無事に臓器が提供されました。
その後のエンゼルケア(死後処置)を緋山先生が自ら行い、それに感化された名取先生もケアに入るシーンが描かれていました。
私は約10年看護師をしていてエンゼルケアに医者が入ってくるなんて一度も経験したことはありません。
だから、あのシーンがありえないって感じた現場経験者の方もおられたと思います。
でも、ありえないことをしてまでも「伝えたいこと」があったのなら、私は「ありえない事をする意味」がある思います。
1コ上の段落では緋山先生のトリッキーなふるまいは「無い」と言っておきながらこっちに関しては「有り」と言う。
今作のMVPはフライトNsの冴島さん
個人的MVPは冴島さんです。もちろん自分がNsだからってのもなくはないですが、彼女の有能っぷりは見た人、気付いた人は高評価を付けるしかないと思うんです。
5分のシーンに5時間も!あのリアルな医療シーンはこういった熱意によって作られているんですね・・・。
医療ドラマ「コード・ブルー」でフライトナース役を演じている 女優 比嘉愛未さん 特別インタビューhttps://t.co/zua909mpl7 pic.twitter.com/DJrqyeUAPE
— 山下リコ (@riko_yamashita) 2017年9月11日
ヘリに乗っている間、フェローが指導医から無線で指導をもらている際さりげなくマイクやヘッドホン?の調整をしたりとか。
両手を開けるために足でジャクソンリース(挿管された患者さんの呼吸を行う道具)を押したりとか、普段の用途ではない機材を現場で加工して処置に使う(こうすれば使えそうですけどって進言したり)などすごいプレイばっかりでした。
こんな看護師いたら俺は自分の実力の無さを痛感してへこんでしまう。
後輩のイキってた雪村さんも冴島さんの実力の凄さを目の当たりにしてからの心の入れ替えぶりなんか非常に面白かったですね。
後輩がああなりたいって思えるほどの先輩っぷり。最高です。
そして、ドラマの中では命の危機にさらされたり、流産されたりと散々な扱い。
最終回では藍沢先生がピンチかと思いきや藤川先生がピンチというとんでもない状況。
気の毒でしょうがなかったです。
前回の記事で「コード・ブルーはリアル」って言ったのですが、冴島さんの表情は本当にリアルというか凄いものがありました。凄い演技力だなぁ比嘉愛未さん。ますます大好きになってしまいました。
実は看護師さんの切迫流産や早産は多いとも言われています。
LINK 妊娠した看護師、5割は夜勤免除されず
こんなことも言われています。確かに、労働環境は非常に悪いです。ドラマでは描かれていませんでしたが、看護部ってやっぱり女性が多いですよ。
だからある種、女性の職場ともいえるくらいなんです。女性の職場ともいえるのに、女性看護師の妊娠に対して冷たい職場でもあったりします。
マタハラっていうんですか?俺なんかは男だから同僚の女性の方が妊娠して時短で帰ったりとかいろいろあってもしょうがないんじゃねくらいに思っていたんですけど、他の女性のスタッフからは手のひらを返したような冷遇を受けたりとなかなか難しいもんがあるなぁと思う場面も多々ありました。
環境や待遇のいい職場もあるとは思うんですけどね。ひどいところはひどいと。
男にはわからんことだから、女性同士がお互いを察しながらやさしく接することができる職場であることを祈るばかりです。
話は脱線してしまいましたが、女性看護師のなかなか触れにくいところにメスを入れた今作の攻めてる部分なかなかやるなぁと思って見てました。
次回作では冴島はるかNsの笑顔しか見られないくらいの展開があっても個人的にはいいです。
彼女には幸せになってもらいたいぁと思います。
他の医療ドラマとの違い
これは今作まで気が付かなかったです。なんでコード・ブルーってこんなに面白いのか。
前回の記事でも触れたのですが、今作からうちの妻が始めて「コード・ブルー」を見ているのですが、医療従事者じゃない方が見ていたら実はわかりにくい。
このドラマには医療用語や専門知識があって初めて理解できるものもあるのですが、ドラマ中での解説が極端に少ない。
同じフジテレビで「医龍」という医療ドラマがありました。
こちらなんかは専門的な言葉はキャラクターが「まさか〇〇だったことを確認してそれらのリスクを回避するために術式を××にして側面からアプローチすることで患者の負担を下げようというのか!」とか手術や病気の解説だったりをよくしてました。
ですが、コード・ブルーになるとそれはありません。
妻はチンプンカンプンな様子だったので、なんで藍沢先生がああしたのかとか、これはこういう状況なんだよって妻に説明することがありました。
そうかぁ、このドラマは補足なしだったんだぁと初めて気が付くことができました。
普通、現場で同僚の医者とかが解説なんかしてないですからね。
もちろん、要所要所である程度の補足や状況がわかるように言っているセリフもありましたけど、聞いててもわからん人はわからんかったと思います。
まぁ、それが無駄なセリフやリアリティーを損なうものを減らしているとも言えます。
ゆえに、他の医療ドラマよりリアルに感じました。
これはある種、このドラマの特徴ともいえるのではないでしょうか。
なので、気になった用語は是非自分で調べてみましょう。
おわりに
ずいぶんと長い感想になってしまいました。最後までお付き合いくださりありがとうございます。
あくまでもこの感想は十人十色の中の一色です。
ドクターヘリには乗ったことのない元救命センター勤務の看護師が見て、思ったこと感じたことです。
1st seasonは2008年、2nd seasonは2010年に放送されました。
実はmasayanの看護歴で言うと、1st seasonの頃は2年目、2nd seasonは4年目でした。
実は主人公のみなさんと共に、看護師として成長してきたともいえるのかな?
なんやかんやでモチベーションが下がっているときにちょうど放送してくれていて、ミスチルのHANABIに助けられ今日まで看護師を続けることができています。
藍沢先生たちを見ながら、自分はどんな風に成長してきたんだろうかとか、1st seasonを見てあの頃は俺はもっとああだったのにとかいろいろ想うことがあります。
主人公たちの成長を見ながら、自分も成長していきたいなと思わせてくれるのはコード・ブルーです。
実は他の医療ドラマでは主人公がパサっと天才的に患者さんを救うタイプのものもあります。
でも、このドラマは主人公たちも悩み、傷つき、努力し、成長しています。自分を重ねやすいのも特徴なんかなって思います。
今作では実は1st seasonで新人時代に指導医の黒田先生からかけられたような言葉を藍沢先生がフェローに言っていて、「あぁ!その言葉はひょっとして!!」って言いたくなるようなところもありました。
結局、後輩に指導するときの最大のお手本って自分がどう指導されてきたかですよね。
自分が指導されたように後輩に指導するなんてことよくありませんか?
そんなとこもリアルだなぁと。
3rd seasonの放送終了は非常に残念でしたが、映画化決定のアナウンスもありました。今から非常に楽しみです。
願わくば、2〜3時間の映画単発より、10話放送する4th seasonを見たいです。
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